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民間領域での行動インサイトの活用

グリーン経済化における民間企業の役割と行動インサイトの活用

第六次環境基本計画においては、環境価値の高い製品・サービスが国民の消費行動で選ばれるために、市場の拡大や環境負荷の見える化が求められています。企業の役割は大きく、行動インサイトを活用し、消費者の意識変容と需要喚起を行うことが期待されています。

消費行動の変革により、従来の大量生産・大量消費・大量廃棄から脱却し、環境価値を重視したライフスタイルへの転換が進むことが目指されています。環境負荷が低い製品やサービスの選択が、新たな需要を生む好循環を生み出すことが重要です。

たとえば、食の安全や環境保全に対する意識が高まる中、生産者と消費者の関係を可視化する「産直」の仕組みが1970年代から進展し、現在も持続しています。さらに、製品のサービス化やシェアリングエコノミー、リユース・リペアといった取り組みが、限られた資源の有効活用に貢献しています。

このような持続可能な消費スタイルは、ウェルビーイングや高い生活の質を追求する方向性を示し、大量消費型の生活から脱却する新たなライフスタイルの形として提案されています。

また、脱炭素・低炭素製品(グリーン製品)が選択される市場を構築するためには、カーボンフットプリント(CFP)の「見える化」が不可欠です。経済産業省や環境省が策定した「カーボンフットプリントガイドライン」を通じ、製品・サービスのCFPの算定や削減、表示を支援しています。

特にCO2排出量が大きい産業分野では、脱炭素化に向けた移行期の取り組みが重要です。企業の排出削減の努力を可視化し、それを付加価値として転換する取り組みも今後ますます重要となるでしょう。

一方で、マスバランス方式を活用したグリーン製品の提供も有効ですが、認知度の低さや市場ルールの不統一といった課題も残されています。これに対する普及のための取り組みが進められています。

現在、ビジネスにおいてはCO2排出削減だけでなく、生物多様性や水資源、人権などの要素も考慮されるようになり、サプライチェーン全体での見える化が進展しています。

 

サステナブルファッションの推進

サステナブルファッションの分野でも、環境負荷を削減する取り組みが求められています。国内外で流通する衣類の生産・廃棄に伴うCO2排出量は約9,500万トンと推定されており、そのうち日本国内での排出量は約970万トンに達します。この大規模な排出量を削減するためには、衣類の生産から廃棄までのプロセスを持続可能なものに移行することが急務です。

このため、衣類の排出量を把握し、リサイクル技術の開発や環境配慮設計の促進を進め、消費者に対しても行動変容を促す情報発信が行われています。また、産業界と連携し、リユースやリペアによる長寿命化の促進、リサイクルのための回収・分別システムの構築など、サステナブルファッションを実現するための具体的な施策が進められています。

 

これらの取り組みを通じて、環境負荷を低減し、持続可能な未来を目指すことがますます重要な課題となっていくでしょう。企業や消費者が共に協力し、行動インサイトを活用した新たな経済と生活のスタイルを形成していくことが求められています。