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日本での新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大は、なんとかギリギリのところで医療崩壊には至らず、やや鈍化してきたように見られます。
しかし、この緊急事態をなんとか凌いだとしても、次なる大問題は、現在行われている大規模な休業と外出自粛要請を、経済へのダメージを出来るだけ少なくしながら、かつ感染の再拡大も防ぎながら解除して行く、という綱渡り的な対応をかなりの長期間にわたって続けて行かねばならないであろうという事です。そういった対応は、すべからくして、「段階的」かつ間違った場合の「迅速な修正」という基本方針を取らざるを得ないでしょう。
言い換えれば、我々は、行動変容に関する極めて切実な(自分自身にも関わる)「実験」をリアルタイムで継続して行く必要に迫られるという事です。もちろん、実験を始める前提条件として、十分な(PCR)検査と感染経路探索がすぐに行える物的・人的キャパシティーを備えておく事が必要です。アメリカでも、この「命」と「経済」の相克の事情は同じですが、ニュー・ヨーク・タイムズ紙のコラムニストのニコラ
ス・クリストフ氏は、このような「実験」には、ぜひ行動科学の最も基本的な道具であるランダム化比較試験(RCT: randomized controlled trials)を使うよう推奨しています(2020/5/6)。私たちも同感です。北海道での感染再拡大の苦い経験を生かしつつ、行動科学の力を総動員してこの難局に立ち向かって行くべきでしょう。 K.T