日本版ナッジ・ユニット(BEST)は、環境省が主導する取り組みであり、行動科学の知見を活用して社会課題の解決を目指しています。設立から6年が経過し、ナッジの概念は広く行政や民間に浸透しつつありますが、その実施においては「スラッジ」といった適切でない活動や、ガバナンス、アカウンタビリティ、倫理面の課題が浮き彫りになっています。特にVUCA(変動性、予測不可能性、複雑性、曖昧性)の時代においては、柔軟で効果的なナッジの選択が求められています。
戦略の策定方法
今回の戦略策定では、行動科学の専門家、地方公共団体、民間事業者の実務者からの広範な意見を収集しました。過去の年次報告書やナッジとEvidence-Based Policy Making(EBPM)、行動インサイトの活用に関わる倫理チェックリストなどの資料を活用し、現状を把握し、課題を特定しました。政府方針や最新の文書を参照しながら、ダーク・コマーシャル・パターンやグリーンウォッシュなどの最新のトピックにも注目しました。
具体的には、日本版ナッジ・ユニット連絡会議での議論を基に、課題別に有識者ワーキンググループ(WG)を設置し、ステークホルダーとのインタビューも行いました。これらの議論をもとに、事務局が令和6年6月に戦略案をまとめました。
次回の展望
このブログシリーズでは、今後のナッジ戦略の詳細や、具体的な取り組み方法についても掘り下げていきます。次回は、インサイトを活用する上での課題とその解決策について詳細にご紹介しますので、お楽しみに。
このように、日本版ナッジ・ユニットは行動科学の最新の知見を活用し、ナッジを社会の課題解決に有効に適用するための戦略を着実に進めています。