日本版ナッジ・ユニットBESTの設立
行動インサイト(ナッジ)の普及を目指し、日本でも地域や民間セクターでの活用が進められています。その一環として、2017年4月に環境省のイニシアチブで設立されたのが「日本版ナッジ・ユニットBEST」です。これは、OECDにも認められた日本初の行動インサイト活用組織で、ナッジを政策やビジネスに取り入れる動きを先導しています。
BESTのミッションと目的
「BEST」のミッションは、人々が自分にとって最良の選択を無理なくできるよう、選択の自由を保ちながらも、自然と自発的な行動変容を促すことです。具体的には、個々の価値観に合ったパーソナライズされたアプローチを取り、無理なく行動を変えるようサポートします。目的は、ナッジを活用した取り組みを早期に政策や民間の実践に導入し、広く普及させることです。
BESTの目標
- 効果的なエビデンスに基づく政策立案:確かなデータを基に政策を策定し、透明性を持って進める。
- 行動インサイトの普及:官民問わず、従来の政策手法を補完する形で行動インサイトを活用し、効果的なアプローチを広める。
- 多様なステークホルダーとの連携:地域に根付いた行動インサイトのアプローチを通じ、すべての関係者にとってメリットのある状況を作り出す。
オールジャパン体制での取り組み
BESTの特徴は、行政だけでなく、産学官民の垣根を超えて、すべてのステークホルダーが同じ立場で自由に議論できる「オールジャパン体制」で運営されている点です。日本や世界をより良い場所にするという共通のビジョンを持ったメンバーが集まり、行動インサイトの活用について議論を重ねています。
広がる活用分野
行動インサイトの活用は、あらゆる政策領域や社会課題に対して有効です。BESTでは、行動が原因となる社会問題にどのようにアプローチすべきか、幅広い分野で活用の可能性を模索しています。
自分自身に問いかける姿勢
BESTが大切にしているのは、私たち一人ひとりが「自分にとってより良い選択を自発的にできるかどうか」を常に問い続けることです。制度がその選択を促しているか、自分自身の行動や習慣を見直すきっかけがあるか、そしてリテラシーが向上するかを常に考えています。
伝統的政策手法との補完関係
行動インサイトは、従来の政策手法(規制や財政的手法、情報提供)と補完し合う形で機能します。これにより、より効果的な政策が実現され、社会全体に良い影響をもたらすことが期待されています。
英国のナッジ・ユニットをモデルに
「BEST」は、英国の行動インサイトチーム(BIT)を参考に設計され、運営されています。イギリスでの成功事例を基に、同様のアプローチが日本でも取り入れられています。
日本版ナッジ・ユニットBESTの設立は、行動インサイトを広く普及させ、地域や民間セクターでの実践を促進する大きな一歩です。